• ヘアスタイル

【連載】私の毒を吸うとくれ vol.2/石原かおり

美容室にまつわるあれやこれ。40代♀がお客目線で本音を暴露。

illustration_Tomomi Kazumoto

実録 おばはんを虜にするたったひとつの方法

40代の自分について思うところ。扱いが難しいとされるこの大人世代には、結局どう接すればいいのか。 年齢を重ねれば経験値も上がって、決断力や判断力に優れた大人になっているのだろうと思っていた20代のころ。23歳で結婚をし、仕事もしていて、その仕事も楽しく、今思えばそこはかとなく体力もあり、しっかり仕事した後しっかり遊んで、疲れたら少しの睡眠で復活していた。養ってもらっていた学生時代の時間とは違う、自由で、大人なライフスタイルを満喫できて、いろんなことが新鮮で刺激的だった。 今思えば極楽だった。 30代に突入する少し前ぐらいになると、自分の将来の選択肢が少しずつ少なくなるような“先”が見え隠れしだした。結婚はもうしていたけど、子どもをつくろうか、このまま今の仕事を続けようか、転職しようか、はたまた会社から飛び出てみようか、専業主婦やりながら何か自分の好きなことをしようか……。 そう、このときは選択肢が多すぎて、どの道でも行こうと思えば行けるからこそ悩んだ時期。そして今まで生きてきた中で今のところダントツで波乱万丈だったのがこの時期。離婚したのも33歳。 「あぁ、つらいなー。けどきっと40歳くらいになったら経験値も上がって今よりいろんなことにビビらずにドーンとして落ち着いた大人になってるんだろうな」なんてことを思っていた。 「不惑の40」とかいう言葉を勘違いしていて、「40にもなったら迷いなく進めるんだ」と納得し、期待していた私。今にして思う、孔子大先生のいう「四十にして惑わず」とは、 ――何が起きても動じることなく、それを受け入れる自由さを持ちなさい。 そうじゃったか。ほぅ。 さて、実際40代も半ば近くなってきてどうか。すぐ動じるし、受け入れられずに毎日悶々としとる(笑)。 「ああは言ったけど、言い過ぎたかなぁ」とか、 「いい歳して未熟すぎる」とか。 「〇〇は△△である」と信じ切っていたことでも、 人から「いやー〇〇は□□だよね」と言われると 簡単に「そうかー!」と考えが変わることや、 その自分の意見とは違う意見を聞くことが度重なることがある。 そんな時どうなるか。 落ち込むんじゃー(笑)。 私ってやっぱ変わっとるんじゃろうか、とか。変わったとこからものを見るからいつも対立したり受け入れられなかったりするんじゃろうか、とか。その、“変わっとる”感性の一つに婚姻についての考え方があるかもしれない。 私はきょうび婚姻という制度自体、もはや時代に合っておらず(私に合っていなかったのだろうが)、無理があるように思う。 「この先何があろうと誰も好きにならず、たとえなってもあなただけを愛します」 って約束、そんな恐ろしい博打があろうか。 結婚したい人、したくない人、子供が欲しい人、欲しくない人、いろんな人がいる。好きなように生きるために結婚が必要だと思えばすればいいんだと思う。 2017年は芸能人など有名人の不倫のニュースが多かった。私もかつて浮気をされたことがある。何度も。前述のような考えを持っている私だから、「浮気は絶対ゆるさんよ!キーッ!」というタイプではなく、分からないようにしてくれれば良いと思っていた。 かと言ってかつての相手が嫌いだったわけでもなく、なんとなく“臭う”ときでも、私に隠そうとしている間は、まだ私に対する気遣いがあると思っていたから。仕事をバリバリする、気遣いの細やかな人だったから、そりゃ仕事のストレスもたまるでしょうよ。発散の仕方も色々持ってる人だったと思う。そういう彼を尊敬していた。 そう、私は浮気はバレなければOKと思っている。だって分からないんだから何の感情も起きようがない。やるなら完璧に隠すことと、その浮気を活力に頑張れと言いたい。誰かに迷惑がかかるようなことがあればそこで終了。嫌な思いを誰かが我慢するのは嫌なのだ。 そういう考えだから、芸能人の不倫で街角インタビューみたいのをやってるときに、「信じられません! 許せない!」とか言ってる人って本当に正義感が強いのかどうか、私には疑問だ。「そのことであなたは迷惑を被ったのでしょうか?」と問いたい。 ほっときんさい(笑)。 ここまでの長い長ーい熟女の話を読んでみてどう感じるだろうか? 感じ方は色々だと思う。若い人、例えば20代の人と会話するとしよう。最初はやはりこちらが倍も年上だから年上気分で話をすることが多い。 けど、年齢ではなく、その人そのものに共感したとき、尊敬する気持ちが生まれる。その気持ちが生まれることに、わたしたちおばはんは真の喜びと感動を感じているような気がしている。 昨年、上昇し続ける体脂肪率を下げるために、今はやりの短期集中型のジムに通ったときの話。担当してくれたのは20代のそのジムの中でも若手の部類のトレーナーさんだった。雑談は想定内。だって経験値が違うから。今私が一番興味のある仕事に関する話を対等に、なんてことは求めていない。けど、ひとたびトレーニングに入ると、しっかりとした知識とデータを元にした裏付け、そして結果につなげようとする情熱。そこにプロ根性を見せられ、彼はその日から私の“先生”になった。 人それぞれの経験の数と種類、そして考え方。全部を分かろうとすることはできなくても、自分の領域を突き詰めることで、自分の何倍も歳の上の人との関係性さえも揺るぎないものにすることはできるんじゃないだろうか。

※本記事は、『美容の経営プラン』2018年1月号にて掲載した記事を転載したものです。

【過去記事一覧】 私の毒を吸うとくれ vol.1/別件とはなんぞ?

2018.04.18
石原かおり
石原かおり

いしはら・かおり/(株)ハッピーリレイションズ代表。(株)リクルートにて美容室への提案営業を行ない、新規開拓のほか、毎月100サロン以上を担当。情報誌編集長兼ゼネラルマネージャー等を経て、2010年に独立。広島県を拠点に、美容室に特化したオーダーメイド型コンサルとして、各サロンの実情に応じた総合的かつ根本的な改革をフォローする。

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