HAIR MODE 2016年９月号　誌上コンテスト結果発表

課題

ショートバング

総評

女性像表現は巧みだが、 ヘアデザインとしてのインパクトが希薄

今月は魅力的な女性像表現ができている作品ばかりで、掲載にならなかった作品の中にも実力を感じるものがありました。女性像表現という観点で総体的にレベルの高い内容だったと思います。新しいサロンでご参加いただけているところも増えてきて、活気がありとても嬉しく思います。一方で、魅力的ではありますが、果たしてテーマであるバングが主役なのだろうか？　というと、存在感や主張がやや希薄でした。上位作品でもテーマが埋没してしまっている作品が散見されます。また、センスはすぐれているものの、どこかしらでオリジナリティを発揮してチャレンジしてみるとか、今までやったことのないことをやってみるとか、そういうアイデアとかチャレンジ精神という面でおとなしい印象。もう少し思い切って、あえて変な前髪をつくる、あるいは前髪から発想して他の部分はそれに付随してつなげるというデザイン発想をしても良いのではないかと思いました。とはいえ、デザイン面でも、似合わせや全体の髪の質感表現はとてもきれいでレベルの高い内容だったと思います。今月、何組かカッターとカラリストがチームで挑んで送ってくださった作品がありました。これまでこの部分に関して規定がありませんでしたので、新しくルールを設けています。12月号分以降、157ページを確認してご参加をお願いいたします。

『HAIR MODE』編集長 小池入江

月間賞

阿保麻都香
SHISEIDO（東京都港区）
資生堂美容技術専門学校卒（美容歴8年）

編集長からのコメント：
モデルに良く似合ったバングのレングス設定、および裾のライン設定です。特にバングのうぶ毛っぽいほやほやっとした質感を生かしながら、ライトサイドのほうに長さのあるものを連続性をもってかけてきている表現がありますが、そこの部分がとても上手。レングスの残し方の見極め力が光る作品です。一番大きい写真は非常に完成度が高いのですが、他の角度になったときの細かいところの詰め方には疑問が残るというのも事実。すこしおまけの月間賞です。

佳作

住吉沙耶香
資生堂ビューティーサルーン（東京都千代田区）
資生堂美容技術専門学校卒（美容歴2年）

編集長からのコメント：
美容歴2 年目と書いてありますが、そうとは思えないほど高いレベルに達していると思います。とくにメイクがお上手です。ヘアカラーとメイクの色合わせもすごく良いですし、ヘアカラーを施すことでしっかりとテーマにおけるバングの存在感が強調されていると思います。フロントからサイド、バックにかけての毛束の動かし方、フォルムのつくり方について若干作為的な印象があり、やや古く感じてしまいます。

佳作

岩元俊介／堤田大介
kakimoto arms（東京都目黒区）
大村美容ファッション専門学校卒（美容歴6年）／大村美容ファッション専門学校卒（美容歴9年）

編集長からのコメント：
ヘアカラーが効いた魅力的な作品です。色みのハイライトを施した表面を長めに残し、細い毛束をつくってゆらぎをつくっているところがとても良いです。今後、写真の撮り方をさらに研究してみてください。ヘッドショットにしなければいけないわけではないので、もう少し肩を入れたほうがバランスが良いのではないかな、と思いますし、ライティングももう少し明るく撮っていただいたほうが良いかと思います。

佳作

西森由貴
SHISEIDO（東京都港区）
関西美容専門学校卒（美容歴8年）

編集長からのコメント：
ある意味、もっともテーマをきちんと捉えた作品表現に挑んでいます。バングを主役にすえ、短めにした上でワンポイント加えています。各所でバランスをとろうと工夫していることは伝わるのですが、どうしても全体的な重さが際立ってきてしまって、もう少し抜け感がほしいです。例えばこめかみのところをラウンドにつなげないで、ワイドバング風にサイドに広げたほうが抜けが出ていまっぽいスタイルになったのかもしれません。