美容室まわりの雇用と労務、開業の方法、さまざまな権利などについて、気になる疑問を解決します。

A.いいえ。まっとうな理由があり社会的通念上認められるものだけです。
労働者がルール違反や職務を怠ったとき、制裁を加えることを「懲戒」といい、あらかじめ就業規則にその事由と措置を定めておく必要がある。
● 懲戒の種類………
一般的に、軽いものから順に次の種類がある。
① 戒告・けん責
戒告は口頭での注意。けん責は始末書を提出させることが多い。
② 減給
賃金を減額する処分。減給額には、以下の制限がある。
・平均賃金の1日分の半額以下 かつ
・1ヵ月賃金総額の10分の1以下
③ 出勤停止
出勤させないこと。出勤停止期間中の賃金は支払われない。あまりに長期の処分は、公序良俗に反するとされ認められない。
④ 降格
職位または職能資格を低下させること。制裁目的でない人事権行使による職位引き下げは、就業規則に規定がなくても行なえる。
⑤ 諭旨解雇
使用者が労働者に退職を勧告し、本人の願い出により退職させること。
退職金が支払われる場合が多く、懲戒解雇より軽い処分と位置付けられる。
⑥ 懲戒解雇
懲戒処分の中で最も重い処分で、使用者が労働者を解雇すること。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となる(参照)。
● 懲戒の有効性………
懲戒処分は、下記の条件を満たさない場合、無効となる。
・就業規則に規定があること
・懲戒事由に妥当性があること
・社会通念上、相当であること
あきやま・ゆきこ/社会保険労務士事務所 あおぞら人事・労務サポート代表。美容室をはじめ多くの中小企業を顧客とし、労務管理や就業規則の作成等を行なう。特定社会保険労務士。共著に『人事・労務ビジネスフォーム全書』(日本法令)ほか。