美容室まわりの雇用と労務、開業の方法、さまざまな権利などについて、気になる疑問を解決します。
A.1年間のもうけを把握するためです。
● 棚卸しの意義………
日々の業務でいくらもうけたかを、最も大ざっぱに把握する方法は、「いくらで仕入れて(売上原価)、いくらで売ったか(売上高)」の計算。
これを会計上では「売上総利益(粗利益)」という。

売上原価を知るためには、「初めにいくら分の在庫があって(期首棚卸高)、期間中にいくら分追加して(当期仕入高)、最後にいくら分残ったか(期末棚卸高)」を計算すればよい。

棚卸しとは、上記の計算をするために、期末にある在庫を数え、次の期に持ち越す在庫を把握する管理作業のこと。
年に1度、決算をするために、棚卸しによって各期首・期末の在庫を確定させなければならない。
● 在庫と資産・費用の関係………
当期仕入高のうち、決算上の売上原価として費用化できるのは、期間中に販売されたもののみであり、残りは「資産」として計上される。
そのため、仕入高が売上高を上回っていても(赤字)、在庫が残っていると売上総利益は黒字になることがある。
例)1本2,000円で販売するシャンプーを、1,500円で新規に100個仕入れたところ、期末までに60個を販売した(40個が売れ残った)場合の売上総利益は?

こばやし・としみち/税理士小林俊道事務所代表。税理士・ファイナンシャルプランナーとして、美容室をはじめ多くの個人経営企業で顧問税理士を務める。著書に『ケースで理解する 交際費・接待費の税務ポイント』(ぎょうせい)など多数。